Webサイトを運営している個人事業主や法人にとって、検索エンジンの上位表示はビジネスの成長に不可欠です。
しかし、「重複コンテンツ」という言葉を聞き、
- それがSEOにどのような影響を与えるのか
- どのように対処すれば良いのか
悩んでいる方も少なくないのではないでしょうか。
同じような内容のページが複数存在することで、Googleからの評価が下がるのではないか
ペナルティを受けてしまうのではないか、といった不安を感じるかもしれません。
今回の記事では、
- 「重複コンテンツ」とは具体的に何を指すのか
- なぜSEOにとって問題となるのか
を分かりやすく解説します。
さらに、自社サイトで発生しやすい重複コンテンツの原因を具体的に挙げます。
それを検出する方法
そして最も重要な「ペナルティを回避する。
SEO効果を高めるための具体的な対策を網羅的にご紹介します。
URLの正規化
301リダイレクト
コンテンツの加筆修正
といったテクニカルな対処法から、
コンテンツ作成時の注意点まで、あなたのサイトが検索エンジンから正しく評価されるための知識を提供します。
最後までお読みいただくことで、重複コンテンツに関する疑問を解消しましょう。
より質の高いWebサイト運営に繋がるヒントが得られるはずです。
重複コンテンツとは?SEOにおける基本的な理解
重複コンテンツとは、Webサイト内に同一または非常に似た内容のコンテンツが複数存在することを指します。
これは、悪意なく発生することもあれば、意図的に作成される場合もあります。
しかし、
- 検索エンジン
- 特にGoogle
では、ユーザーに最も関連性の高い情報を提供しようとしています。
重複コンテンツの存在は評価を下げる原因となる可能性があります。
重複コンテンツの定義と種類
Googleが重複コンテンツとみなすのは、単に「全く同じ文章」だけではありません。
以下のようなケースも重複コンテンツとして扱われる可能性があります。
- 同一ドメイン内の重複:
- PC版とモバイル版のURLが異なるが内容が同じ: スマートフォン対応のWebサイトで、PC版とモバイル版で異なるURLを使用している場合。
- HTTPとHTTPSが混在している: SSL化(HTTPS)が完了しているにもかかわらず、HTTPのURLも存在し、アクセスできてしまう場合。
- 末尾のスラッシュの有無: URLの末尾にスラッシュがあるものとないものが両方存在し、それぞれでアクセスできてしまう場合。例:
example.com/page/
とexample.com/page
- パラメータ付きURL: 検索結果のソートやフィルタリングなどで、URLにセッションIDやトラッキングIDなどのパラメータが付加され、同じコンテンツが異なるURLで表示される場合。例:
example.com/products?color=red
とexample.com/products
- カテゴリページと詳細ページ: 商品や記事が複数のカテゴリに属する場合、それぞれのカテゴリページから同じ商品詳細ページにアクセスでき、URLが異なる場合。
- 印刷用ページ: 印刷用に最適化されたページが、通常のページと異なるURLで生成される場合。
- 複数ドメインをまたぐ重複(クロスドメイン重複):
- 他サイトからの無断転載・引用: 悪質なケースとして、他サイトのコンテンツをそのままコピーして自サイトに掲載している場合。
- テストサイトやステージングサイトのインデックス: 開発中のサイトが誤って検索エンジンにインデックスされてしまい、本番サイトと同じ内容が重複している場合。
- 複数サイトで同じコンテンツを公開: グループ会社が複数のサイトを運営しており、同じプレスリリースや企業情報をそれぞれのサイトに掲載している場合。
なぜ重複コンテンツはSEO上問題なのか
重複コンテンツがSEOにとって問題となる理由は、主に以下の3点です。
- 評価分散(カニバリゼーション): 検索エンジンは、同じ内容のコンテンツが複数ある場合、どのページを上位表示すべきか判断に迷います。その結果、本来評価されるべきページが分散してしまい、いずれのページも検索順位が上がらない、または検索順位が下がってしまう現象が発生します。これは「共食い」という意味合いでカニバリゼーションとも呼ばれます。
- クロール効率の低下: 検索エンジンのクローラーは、サイトを巡回して情報を収集します。重複コンテンツが多いと、クローラーは限られたリソースを重複したページの巡回に割くことになり、本来インデックスすべき重要なページを見つけにくくなる、あるいは更新頻度の高いページがなかなかクロールされないといった非効率が生じます。
- ユーザーエクスペリエンスの低下: ユーザーが検索結果からクリックしたページが、別のサイトや同じサイト内の別のページと内容がほとんど同じだと、ユーザーは「求めていた情報ではない」「サイトの質が低い」と感じ、離脱してしまう可能性があります。これはユーザーエクスペリエンス(UX)の低下に繋がり、間接的にSEO評価にも影響を与えます。
重複コンテンツの具体的な発生原因
重複コンテンツは、意図せず発生しているケースが非常に多いです。
自社サイトで発生しやすい代表的な原因を知ることで、未然に防ぐことができます。
技術的な要因による重複
Webサイトの構造や設定が原因で重複コンテンツが発生することがあります。
- URLパラメータの不適切利用:
- ECサイトなどで、商品の並び順(価格順、新着順など)や絞り込み(色、サイズなど)を行う際に、URLにパラメータが付加されることがあります。例:
example.com/items?sort=price
やexample.com/items?color=blue
。これらのパラメータが、同じ商品リストを表示しているにもかかわらず、異なるURLとして認識されてしまう場合。 - セッションIDをURLに含める設定になっている場合、ユーザーがサイトを閲覧するたびに異なるURLが生成され、重複コンテンツとして認識されることがあります。
- ECサイトなどで、商品の並び順(価格順、新着順など)や絞り込み(色、サイズなど)を行う際に、URLにパラメータが付加されることがあります。例:
- HTTPとHTTPSの混在: サイトがSSL化され、URLが
https://
で始まることが推奨されますが、http://
で始まるURLも引き続きアクセス可能な状態になっていると、同じコンテンツが2つのURLで存在することになります。 - 末尾スラッシュの有無: Webサーバーの設定によっては、URLの末尾にスラッシュがある場合とない場合で、同じページにアクセスできてしまうことがあります。
example.com/about/
とexample.com/about
は、検索エンジンから見ると別のURLと認識されることがあります。 - wwwあり・なしの混在:
www.example.com
とexample.com
のどちらでもサイトにアクセスできる設定になっていると、同じコンテンツが2つの異なるドメインとして扱われ、重複の原因となります。 - 印刷用ページやテストページがインデックスされている: サイト内で印刷用のページを生成する機能がある場合や、開発中のテスト環境のページが誤って検索エンジンにインデックスされてしまうと、本番ページと内容が重複します。
コンテンツ戦略上の要因による重複
Webサイトのコンテンツを管理する上で、意図せず重複が発生することもあります。
- 複数のカテゴリに属する記事・商品: ブログ記事やECサイトの商品が、複数のカテゴリに属する場合、それぞれのカテゴリページからアクセスできるURLが異なることがあります。結果として、同じコンテンツに対して複数のURLが存在する状態になります。
- 情報の重複:
- プレスリリースや企業情報: 新規事業やキャンペーンの告知、企業理念など、同じ内容の情報を複数のページや、グループ会社の複数サイトに掲載している場合。
- よくある質問(FAQ)の回答: 複数の質問に対して、同じ回答文を使い回している場合。
- 商品説明文: 類似商品や、関連商品の商品説明文がほとんど同じ内容になっている場合。
- 記事のリライトが不十分: 過去の記事をリライトする際に、元の記事の内容をほとんど変えずに公開してしまい、元の記事とリライト後の記事が重複コンテンツとみなされる場合があります。
- 外部サイトからの引用・転載: 他サイトから記事や情報を引用する際に、引用元を明記せずに大量にコピーしてしまうと、コピーコンテンツとして認識される可能性があります。また、許可を得て転載した場合でも、検索エンジンはオリジナルのコンテンツを優先するため、注意が必要です。
重複コンテンツの検出方法と確認ツール
重複コンテンツが存在するかどうかを把握しておきましょう。
対策を講じるためには、まず検出することが重要です。
いくつかのツールや方法を活用して、自社サイトの状況を確認しましょう。
Google Search Consoleを活用する
Google Search Consoleは、Googleが提供するWebサイト分析ツールで、重複コンテンツの検出にも役立ちます。
- カバレッジレポート: 「インデックス」セクションの「カバレッジ」レポートを確認することで、Googleがサイト内のどのページをインデックスしているか、エラーがあるかなどを把握できます。重複コンテンツが原因でインデックスされなかったり、除外されたりしているページがないか確認できます。
- 「重複しています(ユーザーが指定した正規URLと相違しています)」: このメッセージが表示された場合、Googleが正規と判断したURLと、ユーザーが正規URLとして指定したURLが異なっていることを示します。正規化の対応が必要になります。
- URL検査ツール: 特定のURLがどのようにインデックスされているか、GoogleがどのURLを正規と認識しているかを確認できます。気になるページのURLを入力し、「Googleが選択した正規URL」の項目を確認しましょう。
サイト内検索や目視による確認
小規模なサイトであれば、サイト内検索や目視でも重複コンテンツを発見できる場合があります。
- サイト内検索: 自社サイト内で、キーワードをいくつか入れて検索し、同じような内容のページが複数出てこないか確認します。
- Sitemap.xmlの確認: Sitemap.xmlには、検索エンジンにインデックスしてほしいページのURLがリストアップされています。重複したURLが登録されていないか確認しましょう。
- Google検索コマンドの利用: Googleの検索窓に
site:あなたのドメイン名 "特定のキーワード"
と入力することで、そのキーワードを含むページがどれだけインデックスされているかを確認できます。同じ内容のページが複数インデックスされているようなら、重複の可能性があります。
外部ツールやサービスの利用
より大規模なサイトや、網羅的に重複コンテンツを検出したい場合は、有料・無料の外部ツールを利用するのも有効です。
- Ahrefs (エイチレフス): サイトエクスプローラー機能で、重複コンテンツの検出や、正規URLの設定状況などを詳細に分析できます。
- Screaming Frog SEO Spider: サイトをクロールし、タイトルタグやメタディスクリプションの重複、コンテンツの類似度などを一括でチェックできます。無料版でも一定のページ数まで利用可能です。
- Copyscape (コピースケープ): 特定のURLを入力すると、Web上でその内容と重複するコンテンツがないかを検索してくれます。自サイト内だけでなく、外部サイトとの重複も検出できます。
- Google検索で確認: ご自身のコンテンツの一部をコピーし、Google検索の検索窓に貼り付けて検索することで、Web上に全く同じ文章がないかを確認できます。これは特に、他サイトからの無断転載が疑われる場合に有効です。
これらのツールや方法を組み合わせて、定期的にサイト内の重複コンテンツをチェックする習慣をつけましょう。
重複コンテンツのSEO対策:ペナルティを回避し評価を高める方法
重複コンテンツはSEO上のリスクとなりますが、適切な対策を講じることでペナルティを回避します。
むしろサイトの評価を高めることができます。
URLの正規化(Canonicalタグ)
最も一般的な重複コンテンツ対策が、URLの正規化(Canonicalisation)です。
- Canonicalタグの設置: 複数の類似したコンテンツページがある場合、検索エンジンに「このページがオリジナル(正規)のページです」と伝えるための
link rel="canonical"
タグを、重複しているページの<head>
内に記述します。 例:<link rel="canonical" href="https://www.example.com/original-page/" />
このタグを記述することで、検索エンジンは正規のページを評価し、重複ページからの評価もそこに集約されるようになります。
301リダイレクトの設定
異なるURLで同じ内容のページが存在し、今後もそのURLを使わない場合に有効なのが301リダイレクトです。
- 恒久的な転送: 301リダイレクトは、元のURLから新しいURLへ恒久的に転送する設定です。これにより、元のページのSEO評価を新しいページに引き継ぐことができます。 例: HTTPからHTTPSへの移行、wwwありからwwwなしへの統一、末尾スラッシュの統一など、URLを一本化したい場合に有効です。 サーバーの設定ファイル(Apacheの.htaccess、Nginxの設定ファイルなど)に記述するか、WordPressなどのCMSであればプラグインで設定できる場合もあります。
Noindexタグの利用
重複コンテンツであっても、何らかの理由でページを残しておきたいが、検索エンジンにインデックスされたくない場合にNoindexタグを使用します。
- インデックスからの除外: 重複しているページの
<head>
内に<meta name="robots" content="noindex,follow">
を記述することで、そのページは検索結果に表示されなくなります。follow
を記述することで、そのページからリンクされている他のページへのクローラーの巡回は許可されます。 ただし、この方法は、あくまで「インデックスさせない」ためのものであり、Canonicalタグのように評価を集約する効果はありません。あくまで最終手段の一つとして考えましょう。
コンテンツの加筆・修正・統合
技術的な対策だけでなく、コンテンツそのものを見直すことも重要です。
- コンテンツの加筆・修正による差別化: 重複しているコンテンツがあった場合、それぞれのページに独自の価値や情報を加えることで、重複ではないと認識させることができます。例えば、同じテーマでも異なる視点から解説する、より詳細な情報を提供する、最新のデータに更新するなどです。
- コンテンツの統合(リライト): 類似している複数のコンテンツを一つに統合し、より網羅的で質の高いコンテンツとしてリライトする方法です。統合後のURLを正規化するか、301リダイレクトで元のURLから転送することで、評価を集約できます。
サイト構造の見直しとリンクの最適化
サイト全体の構造を見直すことで、重複コンテンツの発生を抑えることができます。
- パンくずリストの最適化: ユーザーが現在どのページにいるのかを明確にし、サイト内の回遊性を高めることで、検索エンジンのクロール効率も向上します。
- 内部リンクの最適化: 関連性の高いページ同士を適切に内部リンクで繋ぐことで、クローラーがサイト内を効率的に巡回し、重要なコンテンツを認識しやすくなります。特に、同じ内容のページが複数ある場合、オリジナルページへの内部リンクを強化することが重要です。
悪質な重複コンテンツへの対応
もし自社サイトのコンテンツが他サイトに無断でコピーされている場合(コピーコンテンツ)、Googleに削除申請を出すことも可能です。
- 著作権侵害による削除申請: Googleが提供する「著作権侵害による削除リクエスト」フォームを通じて、Googleにコンテンツの削除を求めることができます。これにより、検索結果からそのコピーコンテンツが除外される可能性があります。
これらの対策を複合的に実施することで、重複コンテンツの問題を解消しましょう。
検索エンジンからの評価を正しく受けられるサイトへと改善することができます。
重複コンテンツは、WebサイトのSEO評価を低下させる要因となり得ます。
その原因を理解し、適切な対策を講じることで、ペナルティを回避しましょう。
サイト全体の検索順位向上に繋げることができます。
この記事で解説したように、重複コンテンツは「技術的な要因」と「コンテンツ戦略上の要因」の大きく2つに分けられます。
ご自身のサイトに重複コンテンツが存在するかどうかを、Google Search Consoleや各種ツールを用いて定期的に確認することが重要です。
そして、検出された重複コンテンツに対しては、
- URLの正規化(Canonicalタグ)
- 301リダイレクト
- Noindexタグの利用
- コンテンツの加筆・修正・統合
- サイト構造の見直し
といった、多角的なアプローチで対策を講じることが成功の鍵となります。
これらの対策を適切に実施することで、検索エンジンがあなたのサイトを正しく評価し、ユーザーにとっても価値のある情報を提供できるサイトへと成長させることができるでしょう。
SEOは継続的な取り組みです。
定期的なチェックと改善を重ねましょう。
ビジネスの成長に繋がるWebサイトを構築していきましょう。